日本寺の従業員・事務職のロプサン君と、事務助手兼・運転手のバレシュワール君が昨年それぞれナーランダ大学に提出していた論文が秋の学位審査会を共にパス、先週2月18日の学位授与式に出席を求められ、他の5人とともに2人後先になってR・パント副学長(学長・アマルティア・セン博士代理)からPh.D(哲学博士)の学位証を授与されました。
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ブッダガヤ日本寺短信
2015年12月31日 日本寺除夜の鐘
インド・ブッダガヤ日本寺除夜の鐘の模様です。
例年通り近隣の村人や旅行者たちが訪れ鐘を1つ撞いた後、日本寺特製手打ちの年越しうどんで新年を迎えました。
8月 モンスーン季の花
ブッダガヤは通常は7月下旬から9月中旬までがモンスーン(雨季)のシーズンです。
ベンガル湾からオディッシャ(オリッサ州)に吹き上げる水分をたっぷり含んだ雨雲が、それまでの乾燥した大地に恵みの雨をもたらしあたり一面に緑を蘇らせてくれる、ほとんどのインド人にとっていちばん好きな、待ち望んでいる季節です。
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日本寺7月の花
アマルタース
日本寺正門を入って左脇の納骨堂を覆っている。
この樹は比較的気温の高い環境下の熱帯の直射日光を好み陽当り量に比例して繁茂するため、熱帯地の公園の植生として好まれる。漢訳仏典中に阿勃勒での記述があり、原種はインド・ビルマ近辺と推定されているが定かでなく、日本からパキスタンに至る亜熱帯・熱帯アジアの広い範囲に定着し、定着地それぞれで多様な亜種が生じている。
花弁・花萼・葉・とも薬用として有用だが、仏教徒に馴染深いのは、南方仏教の比丘たちの纏う黄衣とともに見かけるエビ茶色の衣で、これは熟した莢果(サヤ状の実=種)を煮出して染料としたもので、この色は東南アジアの伝統的な民芸織物ではしばしば見かける。花も樹も色も南方を代表する樹といっていい。
ヴァイニィ 和名ショウマ。
原産地はインドと仮定されているが、恐らく大航海時代以降に主として英国のプラントハンターによって持ち出され、世界中の温帯・亜熱帯に広まった。育て方で多種多様・変幻自在ともいえる樹形や花姿をみせる性質からアマルタースと同様に根づいた国や土地それぞれで異なった命名をされている。
そんな情況から、英国のオールドジェネレーションの間では“広大な砂漠の砂の中から一粒の塩粒を見つける=まったく見分けがつかない”ことを【どうやって本当のヴァイニィを見分ける?!/How you define real viny?】と言い慣らし、原語は何語か?意味不明ながらインド語種的には(身内の)“お姉さん,,と理解でき、日本寺の庭では名前のように優しい姿形に咲いている。
ビリヤ
この花も他の多くのインドの花と同様に定着地それぞれで多様な形態に変化し、専門家によれば、もともとヴァイニィの変種と仮定されているそうだが、黄色い色は変わらないものの、ビハールの湿地ではミズバショウ型、森の中ではフクロカズラ型の花形を見せるややこしい花。
庭の潅木としてこの形に咲く場合を英語人種たちはイエロー・トランペット:Yellow Trumpetと呼んでいる。
しかし、イエロー・トランペット=Tecoma stanceはアメリカ原種で、アメリカ領ヴァージン諸島の国花であり、またイギリス連邦バハマの国章。
ココヤシ
いわゆる“椰子の実”のなる樹。
歪んだ球形でラグビー・ボールほどのサイズになる実の汁(胚乳)を飲む、汁を飲んだ後の内側を覆ったプリン膜状胚をスプーンで掬って食べる、硬い梨の実の食感に似た胚はそのまま食べるほか、おろし金でおろして絞った汁(ココナツミルク),おろさずに刻んで乾燥させ、あるいは粉にして穀物粉と混ぜて焼いたココナツクッキーなど、いずれも絶品の美味だが、実が熟して収穫に最高の時期になると、不思議なことに(?)いつの間にか実が無くなっていて、この樹から一度も穫り入れたことはない。
熟した実は重く、完熟して落下すると自動車のボンネットも大きく凹む、人の頭を直撃すれば即死もあり得るため、その時期には庭師に注意を促すのが通例だが、マンゴーやグァバなど境内にある他の果樹の実と同様、ちょうど食べ頃には消えている歴史が30年~40年と続いている。