ピトルパクシャ(pitru paksha)はヒンドゥー教の祭儀聖典(マッチャプラーナ)に記された祖霊(ピトゥル)供養を表す期間で、ガヤを最高の聖地とし、3つの月を指定していますが、先祖の解脱到彼岸を祈るには太陽暦10月アシュヴィン月)頃がふさわしいとされています。ガヤ地区でのピトルパクシャは米の収穫後の秋に行われることから特に盛んで、今年は2021年9月20日から10月6日がガヤ・ピトルパクシャです。
人々はこの期間に先祖への供餐であるピンダ・ダーン(pind daan)を行うため巡礼し水と灯明と供物と祈りを捧げます。聖典では、「ピンダ・ダーン」を行うことは子孫にとって必須の儀式と記されています。
ガヤにはヴィシュヌ神の神変の地で十あるヴィシュヌパド寺院があり、最も神聖な聖地でもあるところから、毎年数十万人がガヤ訪れ、最南端の祭儀地(ヴィーディ)であるブッダガヤまで尼蓮禅河沿いに51ヶ所ある祭儀地の河の流れで沐浴し、岸辺で祈りを捧げます。
例年ヴィシュヌパド寺院とその周辺にある聖典指定の関連聖地ではこの期間に先祖の霊の彼岸到達を祈る儀式が行われますが、今年は昨年に引き続き新型コロナウイルス感染拡大により公式には中止されました。しかし、少人数であること、予防接種の証明書の携帯等のガイドラインを遵守のもとで祭儀巡礼を受け入れることが許可され、インド各地から巡礼団が訪れています。
日本寺では参拝者にマスク着用要請を掲示し、門を入る無着用の参拝者にはその都度事に門番が着用を求めていますが、徹底されないのが悩みです。