6月18日京都知恩院和順会館に於いて当協会設立50周年、印度山日本寺開山40周年記念式典を開催いたしました。
ヴィカース・スワループ在大阪・神戸インド総領事はじめ、協会護持会員の方々約100名の方々がご参加いただけました。
総領事は経験豊かな外交官であるだけでなく、イギリスで映画化され、米アカデミー賞作品賞など8部門同時受賞をはじめ世界中の映画・演劇賞を総なめしている原作小説『スラムドッグ$ミリオネア』ほか数々の著作を持つ作家でもあります。
当日、総領事より頂戴したスピーチです。
Speech by Consul General of India at 50th Anniversary of the International Buddhist Brotherhood Association, Chion-in Temple, Kyoto
(June 18, 2013)
本日は、国際仏教興隆協会設立50周年記念式典にお招きいただき大変光栄です。
残念ながらディーパ・ゴパランワドワ駐日インド大使は公務の為、出席がかないませんでしたが、この度はご招待いただきありがとうございます。
京都へ来るといつも、この素晴らしい町にある美しい仏教寺院に見られるインドと日本の深いつながりを感じます。仏教が、中国・朝鮮半島を経由して日本へ渡ったとき、二つの文明が初めて交わりました。それから何世紀も続く関係は、今日では戦略的グローバルパートナーシップへと発展しました。両国は歴史の大事な場面では常にお互い支えあってきました。そこで、今晩は国際仏教興隆協会を祝う場であるとともに、インドと日本の友好関係を祝う場でもあります。
ゴータム・ブッダは2400年前にインドに生きた歴史的な存在です。時を越え、仏教というかたちで世界中に広がり今でも語り継がれています。
異教であったにもかかわらず、仏教は日本の文化や土着の宗教観に溶け込み、日本人の価値観や生活習慣に大きな影響を与えてきました。
特に私が日本の仏教の尊敬するところは、人生を広く肯定的にとらえている点です。涅槃や輪廻からの解脱といった思想よりも、今生で悟りに達することの方に重きをおきています。インドではサンヤシというこの世から離れる週間がありますが、ここでは社会とのつながりを保ち、この世をより良い世界にしようとする姿勢がみられます。
国際仏教興隆協会は、まさにそのような姿勢のあらわれだと思います。国際社会への多大なる貢献、特にインドへの貢献をされてきました。ブッダガヤに建つ立派な印度山日本寺の開山にとどまらず、200人以上を対象にした無償の幼児保育施設や、毎日300人以上もの人々が利用する無償の診療所などの運営もしています。また、国際仏教徒結集を毎年開催し、さらには、東洋学・仏教学研究所の設立に向け進めています。
仏教のユニークなところといえば、仏教徒にとっての人生の問題の中心は、永遠の謎を紐解いていくような哲学的なものではなく、信仰や慈悲、救いといった宗教的なものでもなく、むしろ幸せと悲しみです。釈迦は言いました。苦しみと恐怖の終わりを知りたければ、規律と思いやりと知恵を身につけることだ。
国際仏教興隆協会はこれまでの50年間で、規律と思いやり、知恵を存分に発揮してこられました。50周年という記念すべき年を迎え、今後もますますコミュニティや人類の発展に貢献されていくことを願っております。
釈迦が存在したのは今から2400年も前のことですが、我々が抱える苦しみや自己に対する疑念に対する彼の教えは、現代も生きています。そして、世界に苦しみがある限り、釈迦とそのメッセージが必要とされることでしょう。
世界は今、このわけ隔てない慈愛と平和のメッセージをかつてない程に必要としています。国際仏教興隆協会はこのメッセージを必要としている人々に届ける役目を果たしてくれるものと思います。
私たちの心に安らぎを、意識に平安を、世界に平和を。
Om Shant Shanti Shantih.