兄妹の絆をお祝い ラクシャバンダン

 ラクシャバンダンは、ヒンドゥー教の兄妹の絆を祝う行事で、毎年7~8月にあたるインド暦のスラバナ(Śrāvaṇa)月の満月の日に行われます。2025年は8月9日がラクシャバンダンの日でした。ラクシャバンダンはサンスクリット語でRaksha=「守ること・保護」Bandhan=「結ぶこと・絆」という意味で、兄妹の守りの絆を結ぶ儀式ですが、近年では兄弟姉妹に限らず、親戚や友人同士でも広くお祝いされています。

 菩提樹学園では、8月8日にラクシャバンダンをお祝いしました。まず、女の子が祝福の証であるティカと呼ばれる朱色の粉を男の子の額につけ、健康・成功・長寿を祈り、右手首にラキー(Rakhi)と呼ばれるブレスレットを結びます。男の子は女の子を守ることを約束し、お礼にネックレスをつけてあげます。

 終了後はお楽しみの給食です。菩提樹学園では、お祝い事の日の給食は普段とは異なる特別な献立となり、インドの天ぷら(パコラ)、クラブ・ジャム(Gulab Jamun)とラスグッラ(rasgulla)が出されます。これら甘いお菓子は、ミタイと呼ばれ、お祭りや祝い事にかかせません。ミタイを食べられる機会がめったとない家庭環境の園児たちにとってこの日の給食は特別なもので、みんな大好きです。

※グラブ・ジャムン:コワと呼ばれる濃縮乳にピスタチオ粉と米粉を加え、こねて丸めて揚げ、シロップ漬けにしたもの。
※ラスグッラ: チェーナと呼ばれるカッテージチーズと米粉を混ぜ、こねて丸め、シロップ漬けにしたもの。

甘茶を注ぎお祝い 菩提樹学園ブッダジャヤンティ

 インドでは、お釈迦さまの誕生、成道、涅槃を一度にお祝いをするブッダジャヤンティ(Buddha Jayanti)が、毎年4月から5月にかけての満月に日に行われます。今年は5月12日でした。
 菩提樹学園でも年中行事のひとつとして、日本寺本堂で園児がひとりずつお誕生仏に合掌の後、甘茶を注ぎ、ブッダジャヤンティのお祝いをします。

 年少組の園児は初めての儀式にすこし緊張した様子がみられました。その後、先生からお釈迦さま一代記を聞き、この日のために描かれた絵をみんなで鑑賞しました。年少組は「菩提樹」と「蝶々」を、年長組は「お誕生仏」と「ひまわり」の絵を制作しました。

 

2年間の学びの始まり

 2025年4月1日、今年度の菩提樹学園入園式が行われ、昨年度週1回の入園準備クラス「トタ組」に通っていた40名が年少組に入園しました。園児たちは日本寺に近いマスティプール村、ピパルバッティ村、ハリジャンコロニーに住む子どもたちです。これから週6日、小学校に入学までの2年間2クラスに分かれ、ヒンディー語、英語の読み書きや算数など学びが始まります。

【日本寺駐在僧便り】

 当日園児たちは教室で初めての園服に難儀しながら着替え、園児の家族が見守る中、講堂での入園式に臨みました。ソバー主任教諭の挨拶のあとのそれぞれの先生方の自己紹介に続いて、駐在僧として私も挨拶をさせていただきました。拙いヒンドゥー語での挨拶でしたが、年長組の園児たちは目一杯の拍手をしてくれました。
 新入園児たちは4歳ということもあり体格こそ上級生たちよりひとまわりも小さいものの、いきいきと走り回りながらキラキラと輝く目がとても愛らしいかったです。合掌 

駐在僧 戸田萌岳


 

卒園おめでとう!

 皆さまからの温かいご支援のおかげで、今年も園児たちが無事に菩提樹学園での2年間の学びを終え巣立つことができました。一同心より御礼申し上げます。

菩提樹学園卒園式 【日本寺駐在僧便り】
 晴天に恵まれた2025年3月24日、2024年度の菩提樹学園の卒園式ならびに修了式が開催されました。今年度年長組に進級した園児のうち2名が家庭の事情で退園しましたが、38名が卒園を迎えました。当日は園児の父母の皆さまや近隣在住の卒業生の参列を賜り、賑やかな会となりました。

  菩提樹学園の卒園式では、卒園するグラブ組とチャンパ組の園児から進級するカマル組とパンカジ組の園児へと、蝋燭の火を受け渡す恒例のセレモニーが行われています。本年はろうそくセレモニー中ソバー先生が涙する場面があるなど、終始感動的な雰囲気の式典となりました。園児には卒園証書、小学校通学用のスクールバックや文具などが授与されました。
また、年少・年長組全78名中、今年度無欠席だった27名には皆勤賞として洋服がプレゼントされました。
日本寺には子供や孫が学園に通っているスタッフも多く、貰いたての卒業証書をいち早く自慢するために駆け出す園児の姿に私も涙が浮かびました。合掌 

駐在僧 戸田萌岳

春の到来 ホーリー

ホーリー(Holi)は、ヒンドゥー暦のファルグナ(Phalguna)月の満月の日に行われるヒンドゥー教の祭典で、冬の終わりと春の訪れをお祝いする祭典です。2025年は3月14日がホーリーでした。

ホーリーの起源は諸説ありますが、そのひとつに魔王ヒラニヤカシプ(Hiranyakashipu)とその息子プラフラーダ(Prahlāda)のヒンドゥー教の神話にあります。
魔王ヒラニヤカシプの息子プラフラーダは、ヴィシュヌ神を信仰していました。王はこれを嫌い、妹のホリカ(Holika)にプラフラーダを火で焼き殺すよう命じました。しかし、ホリカは炎で焼かれ、ビィシュヌの加護を受けているプラフラーダは無事でした。このことからホーリーは「善が悪に勝利する」することを祝う祭りでもあります。

ホーリーの前夜にはホリカダハーン(Holika Dahan)と呼ばれる儀式を行を行い、焚火を燃やし善が悪に勝利したことを祝います。

菩提樹学園ホーリー 【日本寺駐在僧便り】

菩提樹学園では満月の14日に行われるホーリー当日に先駆けて、学園ベランダにて3月11日にお祝いを行いました。

園児たちは普段通りに通園し朝の学習を終えると、先生からホーリーをお祝いする昼食が配られました。
昼食はビハール州の方言でパッコリーとも呼ばれる「パコラ(Pakora)」(スパイス味の天ぷら)とインドのお祝いの日に食される甘いお菓子「ラスグッラ(Rasgulla)」と「グラブ・ジャムン(Gulab Jamun)」で、日直の生徒の「いただきます」という日本語の号令で一斉に食事をしていました。

園児たちの昼食後は、ご参集くださった保護者と学園の卒業生がベランダに集合し、ソバー園長先生による挨拶がありました。その後子供達は2人1組となって先生から配られた色の粉を顔に塗り合い、色の付け合いをひとしきり終えると、全員参加の色粉の掛け合いの時間となりました。園児たちは集まった家族たちや日本寺スタッフをひとり残らずカラフルにしていき、撮影のために参加した私もカメラを隠しながら色をつけてもらいました。

いよいよ到来する酷暑のシーズンにむけて、一層精進を重ねてまいります。合掌

駐在僧 戸田萌岳